お絵描きボードカレンダー「アトリエミオ」誕生ストーリー。開発者Interview

お絵かきカレンダー アトリエミオの紹介

 

リプラグキッズの新アイテム、親子で楽しめるお絵描きボードカレンダー「アトリエミオ」。

その魅力は、絵の上手い下手にとらわれず自由にお絵描きを楽しむことを通じて、考える力や想像力を養えることです。

さまざまな工夫が凝らされたアトリエミオについて、開発者のMidoriさん、Yukiさんにお話を伺いました。

 

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※リプラグキッズとは「子どもの人間力を育む。」をコンセプトにした知育玩具ブランドです。

 

「家族でシェアするカレンダー」が出発点

――まずはじめに、アトリエミオのアイデアにたどり着くまでの道のりを教えてください。

 

・Midoriさん(以下Midori)

とにかくアイデアをたくさん出しました。リプラグが出しているカレンダーをアレンジしたり、全然違う視点で飛び出す絵本のようなカレンダーを考えたり、家にあったシャドーボックスから発想したり・・・。

 

・Yukiさん(以下Yuki)

そのアイデアの中に、アトリエミオの原型となるお絵描きカレンダーがありました。アイデアをチームで検討していく中で、お絵描きボードカレンダーがいいんじゃないかという意見が多く方向性が決まったという感じですね。

 

――アトリエミオは子どもではなく「親子」をターゲットにされていますが、それはなぜでしょう?

 

・Midori

アイデアを出す前にリサーチをしました。小さな子どもをもつ親にインタビューしたり、今回はグローバルで販売するというテーマもあったので、海外の友人にどんなカレンダーを使っているかヒアリングしたところ、壁かけカレンダーを使ってる人が多いことがわかったんです。

 

・Yuki

壁に飾るということは、カレンダーは「家族みんながシェアして使うもの」だなと気づきました。それで、子どもだけではなく親も一緒に楽しめるものを作ろうと思ったんです。

 

お絵かきボードカレンダーアトリエミオの紹介

 

絵が苦手な子へ もっと自由なお絵描きを贈りたい

――アトリエミオはどのようにカタチにしていったのでしょう?

 

・Yuki

小さい頃、私にとってのカレンダーは「裏にお絵描きするための紙」だったんです。絵を描くのが大好きで、カレンダーを裏返す時はワクワクしていました。だから「描くためのカレンダー」があったら子どもの私は嬉しかったのかな、と思いついたのがきっかけです。

でも、当時の私と同じくらいの子どもがいるチームメンバーにこのアイデアを話した時、幼稚園に通う子どもをもつ親の中には、自分の子どもの絵を「ちょっと恥ずかしい」と思っている方もいるというお話を聞いて、正直驚きました。そのとき初めて絵が好きではない子もいるんだと気づいたんです。

 

そこで保育士をしている友人に聞いたら、絵が苦手な子は思ったよりたくさんいて、手を握ってあげないと描けない子までいるということがわかりました。私にとって絵を描くことはとても楽しいことだったから、楽しみがひとつ減ってしまうのはかわいそうだと思いました。

 

でも確かに、真っ白い紙をポンと渡されても、何を描いていいか分からない時はあったんですよね。そんな時に、私は手遊びみたいなことをしがちな子だったので、そういう「触る」ところから始めるともっと楽しいんじゃないかな、と思うようになりました。それで、このカレンダーでお絵描きに対する抵抗感みたいなものが少なくなる手助けができたらいいなと考えたんです。

 

――Midoriさんは、このアイデアを聞いた時どう感じましたか?

 

・Midori

私も絵は好きな方だったので、お絵描きが苦手な子もいると聞いた時はなんでだろうと、ちょっと不思議な気持ちになりました。とくに幼稚園はたくさん絵を描かないといけない場面があるじゃないですか。だからそうした苦手を「得意」じゃなくても、少しずつ「好き」にしていけたらいいなと共感しました。すごく良い案だと思いましたね。

 

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自由にお絵描きを楽しむための、補助輪になりたい

――アトリエミオの開発中、とくに大事にしていたポイントはなんでしょうか。

 

・Yuki

ポイントは3つあって、一つは子どものお絵描きの「補助輪になる」ことです。というのも、お絵描きが苦手な子も楽しめるカレンダーを作ると決まってから「技術を教える」のか「色や形の幅を知る機会にする」のか、あるいは「考える力を育てる」のか、悩んだ時期がありました。最終的には「考える力」に落ち着くのですが、それまでは例えば「ぐるぐるを描いてみよう」「ギザギザを描いてみよう」とステップアップしていくものを考えたりもしました。

 

でも、そうすると制限が生じることに気づいたんです。「線を描こう」と言われると、どうしてもなぞってしまうし、「トマトを描こう」と言われると赤に塗ってしまいますよね?でも絵を描くことって、もっと自由であってほしい。だからそうした制限は極力無くして、自由なお絵描きの「補助輪」になってくれるような形にしようと思いました。

 

――補助輪というのは興味深い表現ですね。どうしてそのような考えが生まれたのでしょうか?

 

・Yuki

それはやはり絵が苦手な子に使ってほしいからですね。このカレンダーを見たときに「うわ、お絵描きだ」という印象では使ってもらえない。「なんだこれ」とか「ちょっとツヤツヤしてるな、変だな」と興味を持ってもらい、そして「絵の具がある、触ってみようかな」「あ、付いた」と遊んでいくと、その結果が絵になっていた、そんな体験をしてほしかったんです。ステップアップしていくものや、技術を教えるように誘導する色や線のあるものも確かに良いと思いますが、子どものお絵描きをどのくらい補助していくのか、その度合いがとても難しかったですね。

 

・Midori

Yukiさんの友人の保育士さんのお話では、その幼稚園では壁一面に紙を貼り、体を使ってお絵描きする時間があるそうです。ペンで描くのはあまり好きじゃない子どもも、その時間だけは少し楽しそうにしている、とおっしゃっていました。それがヒントになったのかもしれません。

 

――子どもたちに絵をもっと自由に楽しんでもらえるものを追求していかれたんですね。残りの2つのポイントはなんでしょう?

 

・Yuki

2つ目は絵を描くときの「手軽さ」です。親にとっては、準備しなくていい、片付けなくていいのはもちろん、子どもにとっては、気がついたら絵を描いている、というレベルの手軽さを目指しました。アトリエミオにはあらかじめ、絵の具がカレンダーとセットになっていて、気が向いたときにお絵描きできるようになっています。

 

 

・Midori

3つ目は「親から見ても、きれいと感じること」です。幼稚園で描く塗り絵やお絵描きの作品は、親からするとインテリアとしては「ちょっと・・・」と感じる人もいるかもしれません。だからアトリエミオでは、子どもが描いたものがインテリアとして飾りたいと思えるかどうか、というところも大事にして、全てのページに色をつけました。子どものアート教育の本などを調べているうちに、色のついた紙に描くとある程度ぐちゃぐちゃに描いてもきれいに見えるということに気がついたんです。

 

――「親から見てきれい」という点と、先ほどおっしゃっていた「お絵描きを自由に楽しんでもらう」という点は、矛盾するようにも感じるのですが、どのように両立していったのでしょう?

 

・Yuki

その点は、補助性と自由度のバランスを取ることで両立を目指しました。例えば、白紙に子どもがぐちゃぐちゃに絵を描く。それは自由に楽しんでいるので良いのですが、親からするとあまりインテリアとしては飾りたいとは思わない絵になると思うんです。でも、もしそれにブルーの背景色があったら、ぐちゃぐちゃな子どもの絵も完成されたアートに思えてきます。自由に描いた絵でも親が喜んで飾ってくれることで、子どもは自信がついてもっと描こうと思えるようになる。そうした補助のための色であり、バランスなんです。

 

・Midori

あらかじめ印刷されているシルエットも同じです。開発した私たちの中では二月だから豆まきに使う升の四角、というように具体的なモチーフが浮かぶのですが、子どもにはそう見えてもいいし、見えなくてもいいんです。あえて抽象的にすることで補助性と自由度のバランスをとっています。

 

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子どもの個性を大切にする レッジョ・エミリア・アプローチ

――アトリエミオには、レッジョ・エミリア・アプローチというイタリアのアート教育が参考になっていると伺いましたが、この教育を知ったきっかけや、カレンダーに活かした部分を教えてください。

 

・Yuki

今回はイタリアの印刷会社「モーリア」さんと協業することが決まっていたので、カレンダーにもイタリアの要素を入れよう、という話になったのですが、私は安直にイタリアといえばアートかな、と調べていきました。その中でレッジョ・エミリア・アプローチという幼児教育を見つけたんです。子どもたちが自分の頭で考えアウトプットする。そして大人は子どもたちの個性を尊重し、口出しするのではなくて見守る、という教育がとてもいいなと思い

、自分たちのお絵描きカレンダーも子どもの個性を大事にできるものにしようと決めました。しかし制作途中ではレッジョ・エミリア・アプローチを意識せず、お絵描きカレンダーのアイデアをどんどん進めていきました。最終的には、考える力を育んでコミュニケーションできるとか、遊ぶための道具が揃っているとか、レッジョ・エミリア・アプローチと共通するところは出てきました。それは根幹となる考えに共感していたから生まれた結果なんです。

 

・Midori

アトリエミオを作っている最中は、アイデアを狭めてしまわないために距離を置いていました。レッジョ・エミリア・アプローチの教材のようになってしまう可能性もありますから。一旦頭の片隅にとどめておいて、自分たちがどういうものを作りたいのかを詰めていきました。

 

お絵かきボードカレンダーAtelier mioの紹介

 

イタリアと日本 海を隔てたコミュニケーションが形になる

――先ほど、イタリアの印刷会社「モーリア」さんと協業された話がありましたが、その際に刺激になったことや、苦労したことを教えてください。

 

・Midori

「モーリア」は印刷から加工まで一気通貫ででき、そのハイクオリティーな仕上がりには定評があります。仕様を決めていく段階ではモーリアさんにたくさん協力していただき、コストから機能までいろいろとアドバイスしてくださいました。私たちにはなかった発想も多くて、そうした提案には刺激を受けましたね。

 

日本とイタリアの時差、スケジュール感覚の違い、言葉のニュアンスの確認することなどがあるので、国内で進めている時よりもどうしても遅れがちになってしまいます。プロトタイプではたくさんアクシデントがありました。絵の具が輸出できないと判明したり、色が想定していたものとだいぶ違ったので、急いで実物のサンプルを送ったり・・・完成まで怖かったですが、最終的には要望通りで美しい仕上がりになっていました。

 

――では、モーリアとのやりとりの中で一番嬉しかったことはなんでしょう?

 

プロトタイプが届いたことですね!英語でのやりとりだったのできちんと伝わっているかずっと不安だったのですが、プロトタイプが届いたことでちゃんとコミュニケーションができていたんだなと実感して、ちょっと泣きそうになりました。

 

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子どもの頭の中をのぞける機会 コミュニケーションのきっかけに

――最後に、この記事を読まれている皆さんへ、Midoriさん、Yukiさんからメッセージをお願いします。

 

・Midori

アトリエミオは、子どもの自由な考えや発想を大事にできる貴重なアイテムだと思います。私は小さい頃、みんなに合わせるように頑張ってしまう子どもだったんですが、社会を生きていくためには新しい考えや自分らしさが結局は大事になるんだと就職活動で気がつきました。日本の「集団を大切にする」という教育には矛盾を感じていたんですよ。だからこそ、絵の上手い下手は関係なく子どもが好きにお絵描きできる、そうした自由度のあるアトリエミオを通して、子どもたちの「個」を大事にしてほしいと思っています。

 

あと、実際に小さなお子さんのいる家庭に使っていただいた時にわかったのですが、子どもってでたらめに塗っているようでも、聞いてみると何を描いたかちゃんと考えていたりするんですよね。私はそこにとても感動しました。本当に奇想天外なことを考えているから、アトリエミオで一緒に遊んで、子どもの頭の中をのぞいてみてください。その時はぜひ、飾って褒めてあげることも忘れずに、とお伝えしたいです。

 

・Yuki

私は、普段の会話とは違う発見が必ずあるのがアトリエミオだと思います。意外と言葉よりお子さんの考えていることがわかるかもしれないと感じているので。わからなくても「これは何?」と会話をもちかけることでコミュニケーションのきっかけになれば嬉しいです。

絵が大好きな子も、苦手な子も楽しめるので、ぜひ親子で遊んでください。その時は親御さんには、自由に遊ぶお子さんを良い意味で放っておいてほしいですね。

それから、描き終わったカレンダーの絵はまとめて作品集にしてほしいです。カレンダーなので日付を書き込まなくても、そのままログ付きの作品集にできます。お気に入りは飾っておいて、コレクションしてください。遊ぶごとに1年、また1年と子どもの成長が見られる素敵な一冊になると思いますよ。

 

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