ころぴゅーたプロジェクト【木製玩具製造メーカーさま】インタビュー

株式会社ニチガンさんのころぴゅーたインタビュー   クラウドファンディングで先行販売することが決まった、リプラグキッズのIoT知育玩具「ころぴゅーた」。木製部分の製作を依頼させていただいた木製玩具メーカー、株式会社ニチガンさんご協力のもと、開発することができました。リプラグキッズのデザイナーが「ころぴゅーた」についてのコメントと、開発の裏話を吉川さん、酒井さんのお二人にインタビューさせていただきました!(トップ写真 左:吉川さん、右:酒井さん)   【木製ひらがなブロックとスマホが連動!新しいIoT知育玩具「ころぴゅーた」】 https://www.replug.jp/coro-puter/ リプラグ ころぴゅーた   ―― ニチガンさんでのお二人の業務内容を教えてください。   酒井さん:木製玩具および木製雑貨の企画です。企画、デザイン、図面、設計などを一通り行なっています。   吉川さん:私は、生産全般の責任者としてやっているのですが、企画開発にも携わっています。企画担当が作った図面を検証し、実際に工場のラインで作れるかどうかや、どこの工場で作ったらいいか、そして、どんな素材で作ったらいいか検討しながら商品生産を進めています。実際の商品の流れやベトナムにある協力工場の生産工程を見ていますので、ほぼ毎月ベトナムに行っています。   株式会社ニチガンさんのころぴゅーたインタビュー   ―― ころぴゅーた」のアイデアを知った時、どのように思ったか教えてください。また、木製玩具として「ころぴゅーた」はどんなところが特徴的だと思いますか?   酒井さん:木の玩具とデジタルの掛け合わせは今までにないものだと思いました。市場にあるデジタルな要素を取り入れた玩具は、プラスチック製のものが結構多くて少し冷たい印象だったのですが、木のぬくもりをプラスすることで温かみが出ていて、そこが初見で一番印象に残っています。うちでは作れない前衛的な玩具だと思いました。   吉川さん:電子メカと連動することによって、お子様が視覚的に、そしてより具体的に情報を入れられますよね。また、子どもは、動くものに対してすごく興味を持ちます。ころぴゅーたのころころと転がる動きは繰り返しの遊びになりますし、目と手に刺激を与えるのではないか、と思います。電子メカであるということと、脳を動かす動きのある玩具であるということ、この2つが融合しているところが今までと違った面白さなのではないでしょうか。加えて、スマホを使用する商品であるため、どこの家庭でも使えて良いです。その部分は、木製玩具だけじゃなくて、玩具としてもほとんど見かけたことがないですね。   株式会社ニチガンさんのころぴゅーたインタビュー   ―― 「ころぴゅーた」の製作は、こちらから突然メールをさせていただき、見積もりをお願いしたいと頼んだところから始まりました。受け入れてもらえないところがほとんどで、すごくありがたかったです。実は、「作れません」って言われる覚悟で持って行ったんです。   吉川さん:形は作れるのですが、コストの面で難しいのではないかと最初は思っていました。木製玩具というのは型ではなく、板の組み合わせですので、基本的にはプラスチックのような3次元の造形は作れません。ですので、お持ちのアイデアをどこまで再現できるかが心配でした。持ってきていただいたモックアップサンプルを見て、なんとかできそうな形であったので、トライさせていただきました。   ――『なるべくコストを抑えて欲しい、でもクオリティは下げたくない』という わがままなご相談を何度もしていますが、 工夫いただいた点、こだわった点について教えてください。   吉川さん:正直コストをあまり下げられるところがありませんでした。例えば、本当は底板というのは1枚の板だけなのですが、2枚使っているので倍のコストがかかっておりますし。素材を少し変えることはしましたが、シンプルな商品なので、削ぎ落とすところがあまりなかったんです。   株式会社ニチガンさんのころぴゅーたインタビュー   ―― 「ころぴゅーた」の設計、試作作りの過程で苦労した点、 難しかった点を教えてください。   吉川さん:まずは、ボビン(ひらがなブロック)が転がるためのスロープの角度です。ボビンを転がすと途中で止まる、もしくは転がるのが早すぎる、ということがあったので、実験を繰り返しました。あとは、表と裏の板の反りでしょうか。こんなに造形をしていると、一枚の板だと、大体板が動いてしまいます。板は反りたいのに反れないと、割れます。途中で、反りが出てきましたので、素材の変更を行いました。当初のイメージを変えないために、見た目だったり厚みなど板の仕様だったりに気を使いましたね。   ―― ニチガンさんのおもちゃのクオリティやおもちゃ作りの実績には、絶大な信頼感があります。『ここは一番自信がある』といった点を教えてください。   吉川さん:自信ないんですよ、実は。(笑)自信がないから、毎回勉強です。品質に関しては、設計段階と、工場の実際の生産段階でできる限り起こり得るリスクを考えなければいけません。商品を作って売る、だけでなくて、ご購入後1年後、2年後、3年後、この商品はどうなっていくのか。そこまで考えとかなきゃいけないと思っています。   あとは、コミュニケーションでしょうか。工場に無理なことをお願いすると、あとでリスクが出てくることがあります。一方的なことを言うのではなく、何度も事前に打ち合わせをして、意見を聞きながら作っていきます。やはり一番大切なのは人ですから。   株式会社ニチガンさんのころぴゅーたインタビュー   ―― 強いて言えば、どこに一番自信がありますか。   酒井さん:さっきの話と少し矛盾してしまうかもしれませんが、やっぱり品質だと思います。自社商品を1000個作って1個不良品がでるかどうかくらいの確立まで押さえられています。それも毎月社員がベトナムの協力工場まで出向いて、出し惜しみをせず、徹底した品質管理を行っている努力の賜物なので、自信を持ってもいいかなと思います。   吉川さん: ちょっと余談になるかもしれませんが、一番言われて困るのが木目ですね。木は自然のものなので、周りの木目とは違った線や節が入ることもあります。例えば、顔の形の商品にそのようなものが入ったときに指摘されることが多くなります。でもそれはこちらも共感する部分ですので、顔の場合は特に、木目を気にならない位置にずらすなどの工夫はしています。   私たちにとっては何百、何千個のうちの1個なのですが、お客様の目線ですと、その1個が全てですので。だから、工場の方と、商品についての擦り合わせはしっかりと行っています。だから普段からなんども現場に足を運ぶのです。完成品だけ見るのではなく、生産工程も、パーツも隅々までチェックします。本当は全て任せてしまうことが一番なのですけどね。そこが他のメーカーさんではやらない、私たちの強みだと思います。   株式会社ニチガンさんのころぴゅーたインタビュー   ―― 玩具作りにおいて、ご自身が大切にしていることがあれば教えてください。   吉川さん:私は玩具も生活雑貨の一つだと思っています。お子様が楽しむだけのものではなくて、それぞれのご家庭生活や文化にうまく溶け込んで置けるような、そのようなデザインの商品にしたいです。自然で、ナチュナルで、シンプルで。それが、ニチガンらしいし、弊社に向いているデザインだと思っております。色のつけ方も、ただビビッドな赤や青ではなく、少しトーンを落としたような、視覚的にも邪魔にならないものを目指しています。オリジナル商品に関してはそのような意思統一のもと、作っています。あとは、そうした方が、木の素材とマッチングしやすいですしね。   クオリティーや安全面については、本当はもっと大々的に言いたい。でも、玩具を作っていく上ではこれは当たり前、当然のことなんです。商品の使用背景やご購入いただいた後にどう使われていくかを考えています。長く使っていただけるものを作っていきたいですから。弊社は90年以上、その考えをベースにやってきています。私たち自身も、先代の考えを見習い、引き継ごうとしています。30年前の製品の修理依頼をいただくこともあるんですよ。   ―― 修理できるんですか!   吉川さん:だいたいできます。(笑)ただ、だいぶ前の製品ですと、もうパーツがなかったりします。その場合は、どうしてもお金はかかってしまいますけど、思い入れがあるというお客様の思いをいただいて、パーツを一つ制作することも。修理というか、復元ですかね。(笑)できることはなんでもやります!   ・・・ 使っていただくお客様を第一になさっているニチガンさん。そんなニチガンさんに製品を作っていただけたことが、「ころぴゅーた」の強み、そして自信となっております。私たちはそんな「ころぴゅーた」をしっかりとみなさまのもとへお届けしなければ、そんな思いでいっぱいです。吉川さん、酒井さん、ありがとうございました!   株式会社ニチガン 株式会社日本玩具製作所として設立した1929年以来、長年にわたり木製玩具を作り続け、株式会社ニチガンとなった今日もその伝統を受け継いでいます。現在は玩具にとどまらず、「木のぬくもりで日常を豊かにする」をモットーに、安全で安心な木製品を作りつづけています。オリジナル商品からOEMまで幅広く対応しています。  
【木製ひらがなブロックとスマホが連動!新しいIoT知育玩具「ころぴゅーた」】