グラシンペーパーカレンダー2021″sunsun”開発者インタビュー
2021年版のグラシンペーパーカレンダー”sunsun”は、絵柄のデザインを全面リフレッシュし、新しいテーマにチャレンジしています。まるで”燦々(さんさん)”と光が降り注ぐような、気持ちがパッと明るくなるカレンダーに仕上がりました。12ヶ月分、オリジナルの絵柄を書き下ろしたデザイナーの吉村さん、リプラグの商品開発の責任者であるアートディレクター(以下AD)の永嶋さんに、開発秘話についてインタビューしました。
–今回の”sunsun”は、昨年の”satoyama”からガラッとデザインが変わりましたね。どのようにデザインを決めて行ったのですか?
吉村:グラシンペーパーカレンダーのデザインを担当するのは前回の”satoyama”に続き2回目なのですが、新しいテーマを何にするか?から考えました。私の方で3つくらい候補を出して、それぞれ12ヶ月分のサムネイルを作り、ADの永嶋さんと打ち合わせました。その中の一つが、今回決定した”sunsun” (当時商品タイトルはまだ無い)です。ボツになった案も含めて、実は共通している大きなテーマに「季節感を残す」というものが自分の中にありました。
「季節ってなんだろう?」と考えていくと、季節って目と鼻と口と手と耳、五感で感じるものだと思いました。そこで、「音」を感じてみると、通学路で聞いた葉っぱのガサガサという音や風景が思い浮かんできて…春が過ぎて夏らしくなってきた音だな、と。自分の体験からシチュエーションが浮かんできたこと、さらに元々興味があった「テキスタイルデザイン」というイメージが掛け合わさって「オノマトペ」というテーマが見えてきました。
–「オノマトペ」とは、擬音語や擬態語で自然の音や動きを表現したものですね。「キラキラ」や「ピカピカ」など…このテーマはADの永嶋さんと相談して決定したのですか?
吉村:はい、複数案のサムネイルをさらに詰めて行って、永嶋さんと話し合い、「音」と「テキスタイルデザイン」から「オノマトペ」をテーマにしようと決定しました。もともと古着のデザインや包装紙のデザインにあるパターン柄が好きで、デザインイメージも自然と湧いてきました。最終的に12ヶ月分のデザインが完成してから、”sunsun”というタイトルを決めました。
永嶋:テキスタイル風のデザインがかわいく、グラシンペーパーカレンダーに合っていると思いました。「オノマトペ」もやってみたいテーマの一つでしたし、アイデアが面白いと感じました。
–テーマが決まってから、どのようにデザインを完成させたのですか?
吉村:繰り返す音とデザインモチーフを考えていき、それに季節を混ぜ込んでいくような感じです。ラフを描いていって、永嶋さんにお見せして指摘をもらい、また修正して…を何度も重ねました。絵柄から自然に音を感じられないものはボツになりました。今回、「自然」と「人」をテキスタイルデザインのようなパターンに落とし込むところが難しかったですね。
–制作の期間は、新型コロナウィルスの流行により働き方も大きく変化した時期と重なっていましたね。それも含めて、苦労した点など教えてください。
吉村:2月くらいからテーマ決め、デザインに着手しました。4月にはほぼ完成していなければならなかったので、新型コロナウィルス流行による自粛期間中とちょうど時期が重なってしまいました。永嶋さんとはオンラインで打ち合わせをしていました。以前は実際のラフを見ながら、話したり描いたりしながらお互いの意見を出し合えたのですが、やはり対面での打ち合わせのようには行きませんでしたね。
永嶋:そうでしたね。このような状況の中で働き方も大きく変わり、良い面と難しい面がありました。基本が自宅での作業になったのですが、集中して作業したい時には捗りましたし、そこは良かった点です。でも、デザインチェックなど意見交換が必要な場面では苦労しましたね。対面だと、相手の反応を言葉だけでなく顔色や声音でも感じ取れるので、伝わっている?納得できている?を判断できたのですが、オンラインだとカメラ越しで表情も分かりにくく、声も若干のタイムラグがあるので…。オンラインの打ち合わせでは、特に事前準備がとても大切だと実感しました。
–特にニュアンスを伝えるようなデザインの打ち合わせには苦労があったと思います。ADの永嶋さんからはどんなアドバイスを受けたのですか?
吉村:テキスタイルデザインのように仕上げるために、「絵に見えちゃうとパターンじゃない」といった指摘や、「どの部分を大事にデザインするか」のアドバイスをもらい、デザインの軸がブレないよう話し合っていきました。モチーフを細かくしてみたり、同じモチーフでも描く角度を横から上に変えてみたり。モチーフの線の太さを変えてみたら?といった細かなアドバイスもありましたが、そのちょっとした違いでガラッと印象が変わります。どちらかというと、私が盛り込んだデザインに対して、永嶋さんからは「そぎ落とす」指摘を受けていくイメージですね。
–グラシンペーパーカレンダーは、絵柄のページの上に暦のページが重なる、2枚でひと月分という独特なカタチですよね。グラシン紙を使ったこのカレンダーの魅力はどこにあると思いますか?
吉村:「透け」ですね。半透明なので、次の月や更に次の月のデザインまでうっすら透けてしまうから、デザインを考える時にはそこまで計算しなくてはらないのでとても難しい(笑)…でも、その大変な分とっても素敵なものになると思います!普通のカレンダーは毎月絵柄が変わるけれど、季節って本当は急に変わるものではなくて、段々と変わるものですよね。だから、季節感を表現するカレンダーとして、グラシン紙はとても魅力的な素材であり、デザイナーとしてチャレンジしがいがあるなと思います。
永嶋:以前は私も自分でデザインしていたので、手間や難しさはよく分かります(笑)。今はADとして客観的に見ることができるので、また別の楽しさがありますね。今回はテキスタイル風のデザインなので、包装紙などに二次利用した時とってもかわいいと思いますよ。これまでも、グラシンペーパーカレンダーは本のカバーやラッピングにも使えることをアピールしてきましたが、今回のデザインはラッピングにピッタリで、今から二次利用することが楽しみです。
–吉村さんにとってのリプラグの魅力や、普段の仕事について、これからデザイナーとして挑戦したいことを教えてください。
吉村:毎回、リプラグに参加してデザインすることはすごく楽しいです!私はリプラグの「お財布ぽち」が好きなんです。それは、楽しいと思えるアイデアに、実用性も兼ね備えているから。私にとってリプラグの魅力は、「自分の作ったものを誰に届けたいか?」から考えられるところ、そして届いて欲しい人に届けることができるところ、です。
普段の仕事では、現在はパンフレットのデザインが多いですが、これからも幅を決めないで面白いものを作っていきたいです。リプラグの商品デザインをしたことで、自信がついた面もありますし、デザインする上で軸を持つことの大切さが分かり、強さを身につけることができたかな、と思います。
–最後に。”SUNSUN”をどんな人にどんな風に使ってもらいたいですか?
吉村:最終的な仕上がりはカラフルな感じになったので、部屋がパッと明るくなるような、そんな存在のカレンダーとして楽しんでもらいたいです。デザイン的にもチャレンジの詰まったカレンダーなので、デザインが好きな若い子が買ってくれたら嬉しいなと思っています。グラシンペーパーカレンダーを毎年楽しみに買ってくれているお客様にも、新しい魅力をお届けできると思います!
働き方も変わっていく中、不安な気持ちを抱える人も多い今だからこそ、この”SUNSUN”を飾って2021年を楽しく過ごしてもらえたら…リプラグのスタッフ皆の願いです。カラフルで大胆な12ヶ月の絵柄も、ぜひオンラインショップで確認くださいね。